カオス同期よりも普遍的な概念として、コンシステンシーと呼ばれる新たな考え方が本研究室から提案されています[1]。コンシステンシーとは、異なる初期状態を有する非線形システムが複雑な信号を繰り返し入力される場合に、再現性のある応答波形を示す現象のことです。多くの非線形システムは、外部信号が繰り返し入力される場合に、コンシステンシーのある出力を生成することが知られています。
コンシステンシーの概念を図1に示します。入力信号として、決定論的カオスやランダムノイズ等の複雑な波形を用います。この入力信号は任意の初期状態から開始する非線形システムに繰り返し入力されます。また各々の入力信号に対して、応答システムの時間波形が得られます。ここで応答システムの時間波形を観測した場合に、過渡状態の後に同一の応答出力が得られる場合に、コンシステンシーがあると定義します。
コンシステンシーは、脳における学習機能や様々な自然現象において観測される普遍的な概念であります。さらにレーザにおけるコンシステンシーは、リザーバコンピューティングのような新たな光情報処理方式の要素技術として、近年非常に注目されております。